『他人の物は自分の物、自分の物も自分の物』










「愉しかったか?」

「まだ残ってたんだ?」

「当然だろ。で、どうだった?」

「勿論、とっても愉しかったよ?」

三村の問い掛けに、にっこり微笑んでそう答えた。





自分の身に起こるであろうコトに気が付き、青褪めて行く顔。
次いで、恐怖の為か歪む表情。
ぞくりと背中辺りが振えた。

「でもさ、あんまり声上げらると興醒めしない?」

「そうか?」

「そうだよ。だから俺には、三村の気持ちってよく解らない。」

「その辺は、人それぞれだからなぁ。俺は好きだぜ?」

お前の声。
耳元で、そう続けられた。

「知ってる。まあ、別に良いんだけどさ。人の趣味にとやかく言う気は更々無いし。
だからそうゆうわけで、ちょっと口を塞がせて貰ったんだよね。」

「どうせ塞ぐなら、俺は視界だな。」

「三村ならそうだろうねぇ。あと手も縛らせてもらった。」

「なかなか酷いコトするな。」

「よく言う。三村に比べたら、俺は断然優しい方だろ?」

「言うほど俺だって、酷くはないだろ?」

「酷いよ。」

「即答かよ?」

「身体的に酷いコトするのが好きだろ、三村の場合は。俺はそうゆうのは、興味無いし。」

「まあ、そうかもなぁ…。」

「だから、三村の方へ行った方が悲惨だったんじゃない?」

「そこまで言うか?」

「うん。でもさ…」

思っていた通り、飯島の態度、表情などは、酷く煽られそそられるモノがあった。
けれど、今一つ欠ける部分があるのもまた事実。
元々自分は淡白なのか。

「愉しかったし、遊ぶ分には構わないけど。相手は三村のがいいね。」

「当たり前だろ?アイツのがいい、なんて言われたら泣くぞ?」

「それはそれで、ちょっと見てみたい気もするけど。」

「おい!」

「ふふ、冗談だよ。それにさ、他人と肌を合わせるなんて、不快以外の何物でも無いし。」

「脱がなかったのか?」

「勿論。」

「…そっちの方が、精神的にはくるんじゃないか?」

「だって俺、そうゆう方のが好きだから。」

笑みを浮かべ続ける。

「酷い奴だな。」

「お互い様でしょ?」

「まあ、な。」

そうして三村も、微笑を浮かべる。

「どっちかの所に行かなくてもさ、一緒に居る時に来たら、凄かったのにね。」

「そうだな、寧ろそしたらチャラにしてやった方が良かったかもな。なら次は、3人で遊ぶか?」

「ああ、飯島にも提案してみたんだ。とは言え、聞こえてたかどうか怪しい所だけど。」

「とりあえず今は―――。」

腕を取られ、身体を引き寄せられる。次いで唇を塞がれた。

「…ふ…ッん」

「俺に構ってくれよ?」

「今から?ココで?」

「良いだろ?俺はお前の物で、お前は俺の物なんだから。」

「何か良い響きだよね、俺様的思考っていうのは。
まあ、あんまり遅くなると昇降口閉められちゃうだろうから。お手柔らかに。」

微笑を浮かべ、その背に腕を回した。












fin.





04.05.11