『踏みにじられた、』










こんなコトを、望んでいたわけじゃない。

こんな想いを、抱いていたわけじゃない。

ただ。

ただ、以前のように、なりたかった。

何故自分が、こんな目に合わなければいけないのか。

裏切られたような、酷く哀しい気持ちになった。

けれど、元を辿れば、きっかけを作り出したのは自分。

あの時。

見て見ぬ振りをした俺に、三村も同じよう、こんなコトを思ったのかもしれない。

踏みにじられた…。

違う。最初に踏みにじったのは俺の方。

これが、俺の過ち。

これは、その報い。

ほんの小さな過ちで、こうして大切なモノを失った。

ただ、戻りたいと思っていた。

だけどもう、二度と戻れはしない。元通りになりはしない。

それだけを、嫌でも思い知らされた。

一度壊れたモノが、直るコトはないのだと―――。

これが事実で、現実。

俺の目の前に広がる、全て。












fin.





04.04.24