『御前に選択権なんか無い』
今の自分があるのは、国信の所為と言っても過言じゃない。
だからって別に、恨んでるとかそういうわけでもない。
寧ろ、感謝してるくらいだ。
何よりお前は俺のモノだって思えるし、お前を満足させられるのは俺だけなんだって。そう思えるから。
お前と同じモノを共有するコトが出来ているのかと思うと、心が振えるほどの興奮にも似た快楽。
悦びを感じる。
そうして最近。
新たな愉しみを覚えた。
国信と共に居て感じるモノとは、また少し違う感情。
他人の歪んだ表情、泣きそうな表情を見るコトがこんなにも心地良いなんて知らなかった。
それは相手が、アイツだっていうのが大きいのかもしれない。
俺がそう感じるんだから、当然国信もそう思ってるに違いない。
そうだろ?
この感情を教えてくれたのは、他でもない国信なんだから。
だから、俺と国信とお前の3人で遊んだら、どんなに愉しいだろうな。
まあ、お前の方はそうじゃないかもしれないけど。
でも人間、誰だって楽しいコト、気持ち良い、気分の良いコトは好きだろ?
俺もそうだし。
大体な、こんな風になるきっかけを作ったのはお前の方なんだぜ?
別に俺は、お前の取った行動に対して怒ってるわけでもない。
俺1人でも、どうにか切り抜けるコトが出来るって思ったんだろ?
実際その通りだったし。
けどまあ、その裏に多少なりとも自分が入っていって、巻き添えたくない。とかゆう思いもあったのかもしれないな。
お前のコトだから、充分有り得るだろ?
別に責めてるわけじゃないんだぜ?
だってそうだろ、人間てのは何より自分自身が大切な生き物だ。
自分を犠牲にしてまで、他人に尽くすコトの出来るヤツなんて、そうそう存在しない。
だからお前なら当然の行動だと思ってるし、今更過ぎたコトを蒸し返すのも気ィ悪いしな。
けどな。
お前はそのコトで、俺に対して負い目っつーか、引け目感じてるだろ?
時々見せる表情とか態度とか。
正直、アレが気にいらない。
言いたいコトがあるなら、はっきり言え。
…まあ、それが出来ないってのを知りながら、俺は知らないフリをする。
そしてそんなお前の煮え切らない態度が、俺の嗜虐心を刺激する。
ホントに空回りしっぱなしだよな、お前は。
もう少し要領良く生きろよって、教えてやりたくなるよ。
けど、そんなコトしたら愉しみが減るからな。
だから教えてなんかやらない。
元はと言えば、コレはお前が蒔いた種だ。言わば自業自得。
どうにかしたきゃ、自分で何とかする以外方法は無いわけだ。
でもな、そう簡単に楽になんかしてやる気も、俺には更々無い。
それにな、今更お前に選択権なんか無いんだよ。
だから精々頑張って俺達を愉しませてくれよ。
お前と遊べる日を、愉しみにしてるぜ?
「な、飯島?」
fin.
04.03.02
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