俺には今、気になる子が居る。 彼女の名前は、。 二年の頃に、転校してきたとは。同じクラスで、隣の席になったのをきっかけに仲良くなった。 自分で言うのも何だが俺は、誰とでも割と早く仲良くなれる方だと思うし。 それは、ちょっとした特技の一つでもある。 運が良いコトに、とは今年も同じクラスになれた。 そんなは、少しばかり天然な所も否めないが。 ぽわんとしてて、和むっちゅーか。 話しをしていると、こう暖かい気持ちにさせてくれる様な人間で。 マイナスイオンが出まくりの所謂、癒し系なタイプだと思う。 例えば、俺が落ち込んでいたりすると必死に励ましてくれたりする。 まあ若干、フォローになってない様な。 傷口に塩を塗り込む様な、微妙なコトも言われはしたが。 本人は無自覚で、口にしてるだけで。 悪気が無いコトは、その姿を見ていて伝わってきた。 ある意味、性質が悪いと言えなくもないが。 それもまた、の魅力でエエ所やと思う。 そこは、惚れた弱味というのもダイブ含まれているかもしれないが。 唯、気になるコトもある。 曰く、俺は 『ずっと友達でいてね』 と言われそうな、いい人っぽいらしく。 尚且つ、 『好意を持ってる相手から恋愛相談を受けても、ちゃんと相談に乗ってあげそう』 なんて思われている所だ。 こう言うのも何だが、とは仲がエエ方だと思う。 よく話しもするし、男子の仲では俺が一番親しい関係にあるのではないかと思っている。 だからこそ、先ほど述べたコトが気に掛るのだ。 コレで、白石のコトが好き。とか言われたたら、目も当てられん。 だがは、俺のコトをカッコイイと言ってくれたし、好きだとも言ってくれた。 しかしまあ、俺を励ましてくれた時のコトで。 勢いとか、雰囲気もあった感じが否めないのも事実で。 告白するにも、もう少し確信が持ちたいと思ったりする。 まあ、こんなコトを俺が思ってるなどと知られたら。 財前辺りには、ヘタレや何や言われるんやろうな…。 誰がヘタレやねん、っちゅー話しやけど。 今回ばかりは、否定しきれんかもしれん。 「忍足くんて、待ち時間とか苦手なんでしょう?」 云々と、己の思考に耽っていると、当の本人。 に話し掛けられた。 「まあ、スピード命やからな。待つのは、性にあわん所があんねん」 にこにこと笑顔のに、先程まで暗く沈んでいた思考も吹っ飛ぶ。 可愛エエなー、と俺の顔にも笑みが浮かび、頬が緩む。 しかし、が発した次の一言で、凍りついた。 「それじゃあ私は、鈍くさいしとろいから。忍足くんとは、相性が悪いね」 「ッ?!」 思いもよらない、の言葉は。 まるで頭を、ガツンと鈍器で殴られた様な衝撃を与えた。 「歴史も好きだし、古くからの由緒ある建造物とか、世界遺産なんかも好きなんだけど。 趣味も合わないんだね…」 何も言えず、ただ黙って聞いてるコトしか出来ない俺に、の言葉が続く。 何処か残念そうに聞こえたのは、俺の錯覚だったのか。 『NOスピードNOライフ』 を座右の銘にしてきた俺にとって。 コレはもう、言わば誇りにしているコトでもある訳で。 今更それを、覆すコトなど、俺には出来ない。 まさか、こない所で弊害が出るとは思わんかった!!! 人生は予想外の連続、とはよく言ったモノだ。 いやいやいや、今はそないなコト言うとる場合やない。 も悪気は、悪気は無いんやろうけれども…。 だけども、好意を寄せている本人の口から、ズバッと言われる程、衝撃的なコトはない。 嗚呼、俺はどうしたらエエんやろうか…。 ちゅーか、待ち時間とか苦手なだけであって、嫌いな訳じゃない。 古い物とかだって、何も無い時代にコレだけの技術力は凄いなあ、と感心もする。 ましてやのコトを、鈍くさいとか、とろいなんて思ったコトも無いっちゅー話しや。 (うぅぅぅ、何だって急にはこない話し振ってきたんやろ…) 笑顔の、その背後でニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる、白石と皐月の姿があった。 「ッ!!!」 そして俺は、瞬時に悟る。 (お ま え ら の さ し が ね か ッ !!!!!) キッと睨みつけてやるも、顔を背け笑い続ける二人。 全く反省も、効き目もありゃしない。 その姿に、思わずぎりぎりと歯噛みする。 (二人して、俺をオモチャにしよってからに!!! 最悪じゃ、ボケ共が!!!) この想い、どないしたら成就するんやろ…。 悩みは、当分尽きそうもない。 ましてや告白なんて、まだまだ辿り着けそうも無いコトを嫌という程、思い知らされた。 |
2010.05.09