7月10日〜8月24日
『第一印象』(跡部編) 跡部くんの第一印象は、ちょっと特殊だから言葉にするのが少し難しい。 と言うのも、跡部くんは氷帝学園一の有名人で。 実際に本人と会うより先に、色々な噂を耳にするコトの方が多かったからだ。 まあ入学した時から、目立っていた訳だから。 足を運んで会いに…、というよりも見に行けば良かったのだろうけれど。 さすがに、野次馬? そんな感じになるのは、ちょっとどうかと思った訳で。 兎に角、同じ学園内に居る訳だし。 そんなコトせずとも、その内に会うコトもあるだろうと思っていた。 でも、なかなかどうして、そういう機会は簡単にはやって来なくて。 そうして結局、噂ばかり余計な情報量が増えていくばかり。 とりあえず私が耳にしたのは。 派手・目立ちたがり屋・自意識過剰・尊大・帰国子女・お金持ち・俺様・ナルシスト・etc…。 まだまだあるけれど、その辺は割愛するとして。 良いモノ、悪いモノも同じぐらいの膨大な情報量があって。 しかもそれらの中には、多少の尾が付き鰭が付いて誇張されているモノもあるだろうし。 どの程度、信じて良いモノか判断しかねた。 言われた通り、全てを鵜呑みにするのは、間違っていると思うし。 結局、噂は噂として、信じず聞くだけに留め。 自分自身の目で、判断するしかないのだという結論に行きついた。 まあ、尤もなコトなのだろうけれど。 何だか納得いかないというか、もやもやした気持ちが払拭しきれなかった。 とは言え、私と跡部くんに接点などある訳もなく。 どうするコトも出来ず、時間ばかりが流れたのが現実だったりする。 でも、そこはさすが跡部景吾? 一年生で生徒会長、及びテニス部の部長を兼任していた。 というか、部長の座は奪い取ったのか? ま、まあ細かいコトは良いとして。 そんな訳だから、機会はある日突然やって来た。 結果は、耳にしていた噂が事実であった部分もあるし、違う所もあった。 一年生でありながら、生徒会長と部長に就任するとか。 そういうのは確かに、派手とか目立ちたがり屋。なんて思わせる節はあるけれど。 それでも、そこには矢張り実力であったり、統率力? 人を惹き付ける魅力や、人望・人徳とか。 そうしたモノが無ければ出来るコトではないし。 平然と、簡単にやって退けるコトだって。 影では努力をするのも、怠らない成果だろうし。 まあ、多少は元の出来とか、生まれ育った環境なんかもあるのかもしれないけれど。 だけど、恵まれた環境下にあったとしても、本人のやる気や努力が無ければそれらも無意味だろうから。 人に見せない所で、弛まぬ努力をしているのだろう。 そういう所は、見習わないといけないなぁ。 色々と言われて、聞いてきたけれど。 結論として、跡部くんは、偉大な人だと私は思う。 尊大とか、俺様人間なんて言われたりもしているけれど。 でもそれは、相応の結果や実績を出しているのだから。 言う程、悪いコトでも無いように思うし。 こういう人が上に立っていたら、何だかんだ言っても周りは付いて行くモノだろう。 それに、跡部くんなら何か凄いコトをしてくれそう!! なんて思わせてくれる。 知り合いになれたら、それは刺激的で退屈なんかとは程遠い日常生活が送れそうだ。 けれど同時に、住んでる次元とか、スケールとか。 あまりにも、私とは違い過ぎるのも確かで。 その他大勢として、遠目から跡部くんを見ているくらいが、私には丁度良い気がする。 『第一印象』(南編) 南くんの第一印象は、『地味』という言葉に過敏な人。だろうか。 何て言うか、自意識過剰? うーん…、ちょっと違うかな。 悪い意味での自意識過剰というか…、まあ、変な言葉だけど。 あ、被害妄想か。被害妄想が、ちょっと激しいのかな。 でも本人が思う程、地味だと私は思わないんだけど。 と言うか、あそこまで敏感だと過去に何か、トラウマ的な事件でもあったのだろうか? 何て風にも思えたりする。 まあ、地味にまつわる事件って何? という話しだけれど。 髪型とかもツンツン頭で、割と目立つと思うし。身長だって高い方だし。 南くんが思う地味が、一体どういうモノなのかは解らないけれど。 外見的なコトではなくて、もっと内面的なコトなのだろうか? 例えば、存在感やら、華があるかどうかとか? ……それを言ったら、何て言ったら良いのかよく解らないけど。 いやいやいや、別に影が薄いだとか華が無いとか。 そんな風に思っている訳では、決してない。 そもそも身内(テニス部内)の所為と言うべきか、影響されてるんじゃないかと私は推測する。 ラッキーの度が過ぎる、千石くんとか。 亜久津くんは、まあ、言わずもがなだし…。でも、意外と良い不良だよね、亜久津くんて。 他にも芽? やら、ぐるぐる? とか。 そうした環境下に居て、慣れてしまったからなんじゃないかな? 個性的と言うのか、特殊? そうした人達が身近に多いから、自分が地味だと思い込んでるんじゃないのかと思う。 だから地味さ加減の基準? 比べる相手が、そもそも間違ってるのだと私は思うんだけれど…。 もっと自信を持って、堂々としていれば良いのに。 大事なのは、外見なんかじゃなくて内面!! ……まあ、ちょっぴりは外見も大事かな? とは思うけど。 でもホントに、ちょっぴり。ちょっぴりだけだから!! そう言う訳だから、地味だ何だと言ってくる周りのコトなんか。 サラッと聞き流せば良いのに、って私は 『地味って言うなッ!!』 と言ってる南くんを目にする度、思ったりするのだ。 けれど同時に、そんなコトが出来ないのが南くんであって。 そこがまた、南くんの良い所でもあるんだろうな。 なんて風に思う訳で、だからもう、いっそのコト共存? 地味であるコトを、売りにするとか。 そういう風に、方向転換すれば良いんじゃないかな。 って、そもそも南くんは、地味なのが嫌な訳だから、この提案はダメか。 でも南くんが、ある日、突然。千石くんや亜久津くんみたいな派手な人? この場合、派手と言うのも、何かちょっと違う気がするけど…。 兎に角、そんな風になったら、周りは騒然とするんじゃないかなぁ。 寧ろ悩み事があるなら、相談しろよ。とか、心配されそうな気がする。 やっぱり人間、自分に合った自然体であるコトが大切だと思う。 地味で大いに結構、地味の何が悪いんだ!! このぐらいの意識改革が、南くんに起こるのが一番良いんじゃないかな。 まあ、コレは本人の意に反するコトかもしれないけど。 『第一印象』(幸村編) 幸村くんの第一印象は、儚い人だった。 だった…、つまり過去形。 実際の幸村くんは、180度反対。 ちょっとのコトでは、消えるとか揺らぐなんて、絶対に有り得ない。 所詮、第一印象なんてそんなモノだよなって思った。 ま、まあ、こんなコトは、絶対に本人には知られちゃいけない秘密事項だし。 別段、それが悪かったとか言う訳ではない。 何だか凄く、言い訳がましく聞こえるかもしれないけど。断じて、そんなコトは無い。 兎も角、一見すると線が細くて穏やかな印象を受ける幸村くんは。 その印象に違わず、趣味がガーデニングだったり。 花が似合いそうで、その姿を想像すると、うっとりする人も多いのではないかと思う。 否、実際に花は大変似合う訳だし。きらきら眩しく、輝いている様に見えるのも確かだ。 そうした一面も、あるのは事実だけれど。 幸村くんはもっとこう、男らしいと言うか。 男の人に対して、男らしいと言うのも変な話しだけど。 何て言うのかな……。 『漢』と書いて、おとこと読む。みたいな? 特にそう感じるのは、テニスをしている時だろうか。 現在、強豪とされる立海付属の部長を務めているくらいだし。 物凄く上手いし、強いのも事実だ。 でも幸村くんのプレイスタイル? 本気を出せる相手も、沢山いるわけではないらしく。 早々に目にする機会は、ないのだけれど。 偶然というのか、ラッキーというのか。 まあ、何にせよ一度だけ見たコトがあるが。あのテニスは正直、怖い。 ちょっとした恐怖、ホラーの域と言うか…。 五感が失われていくなんて、一体どんなテニスだよッ?! と戦慄いた。 それを見て、ふと幸村くんも、それに似た所がある様な気がすると思ってしまった。 何処が? と聞かれても困るのだが。 そこはかとなく、滲み出ている様なオーラ? 威圧感? 何か二面性というのか、裏があるような…。 あの真田くんに、勝るとも劣らない存在感と言うか。 否、訂正します。問答無用、圧倒的な大差で幸村くんの圧勝だろう。 幸村くんの前では、真田くんなんて可愛いモノだろう。…勿論、顔とかでなくて。 ま、まあ、幸村くんは神の子。なんて言われるくらいだし。 有無を言わさず、平伏しそうになってしまうのも納得? いや、いやいやいや。そこは違うだろう、うん。 でも普段は、優しくて親切だし。やっぱり、穏やかな雰囲気の方が勝っている。 のだけれど、笑顔でスパッと言い切るとか。 人によっては、笑顔が怖いなんてコトがあるんだなと思わされた。 だけど、そこが幸村くんの魅力でもあるのかな? 難しい所だけど。 何だろうな、幸村くんとは、程良い距離を保ちながら、こっそり見ているくらいが良いってコトなのかな。 確かにそれなら、目の保養だろうし、癒される気がする。 ……でも、裏の顔というのか。 実際の幸村くんを知ってしまった以上は、そんな昔、以前の様な元には戻れない。よ、ねえ…。 知らない方が、倖せなコトもある。なんて言葉が、頭を過ったのは。 気付かないフリをしておこうと思う。 |