6月7日〜7月10日



『第一印象』(千歳編)



千歳くんの第一印象は、デカ……じゃなくて。大きい人だな、である。
190センチ以上ある長身に、下駄を履いている。
その為、余計に大きく見える。なので、2メートル近くあるのではないだろうか。
聞くところによると、あの下駄は6kgも重量があるらしく、両方合わせたら12キロ。
それで平然と歩いている所は、凄いコトだと思う。
千歳くんは、テニス部に所属している訳だが。
足腰とかを鍛える為なのだろうか?
いや、でもそれにしては、ちょっとやり過ぎ感も否めないと言うか。
でもその下駄は、特注品なのだろうし。何かしら、意味とかあるのだろうけれど。
それにしたって、千歳くんは一体、何を目指しているのだろうかと。
この話しを聞いた時、正直、首を傾げずにはいられなかった。
九州から転校してきた千歳くんは、博多弁で良いのかな? を話す。
関西弁が殆どの四天宝寺の中、それはかなり異色だ。
けれど、千歳くんの雰囲気に合っていると思う。
何だか和む感じがする。
ふわふわして、温かい感じがして。例えるなら、春みたいな人だろうか。
所謂、癒し系と言うような。そんな言葉が合うかもしれない。
また、自由奔放で放浪癖? そういう所があるらしく。
授業や部活、というか学校自体があろうとも、ふらふらと行方をくらませてしまうコトが多々あるとのコトだ。
しかも、隠れるのが上手いのか。
校内で千歳くんを見掛ける、見付けるのは相当に困難なコトで。
その所為もあるのか、千歳くんを目にしたら幸運が舞込む。
なんて都市伝説までもが、いつの間にか出来上って流れている。
この辺、何でもネタにしてしまう四天宝寺は、さすがと言うべきか。
思わず感心してしまったりもしたが。
こうしてみると、千歳くんは背だけではなく、いろんな所が大きい人なのかもしれない。
おおらかというのか、心が懐が広い人。
だから、規則とか校則なんかでは縛るコトが出来ないのかもしれない。
でも、ふらりと行方をくらます千歳くんは、それが単に極度の方向音痴なだけ。
とかだったりしたら、ギャップ萌え?
カワイイなー、なんて思えたりする。
でもまあ、さすがにそれは無いだろうし。
周囲を和ませ、幸運を呼び込み、方向音痴とか。
どんなフェアリーだよ!! って話しだろうし。
それに、あんなに大きなフェアリーも居ないよね。
千歳くんなら、それも似合いそうだけど。







『第一印象』(一氏編)



一氏くんの第一印象は、ちょっと恐い人だった。
何て言うか、目付きが悪……じゃなくて。眼光が鋭くて、睨まれている様に見える。
近寄るなオーラが出てる、というか。無愛想気味な所が、より一層そんな風に見えるのかもしれない。
それは、モノマネライブとか、お笑いのネタを披露してる時とは全く違う姿で。
でも実際、お笑い芸人の人も、素は大人しい人が多いと聞くし。
同じ様なコトなのだろうか?
あと、一氏くんはホモらしい、とか。
金色くんのコトが、好きらしい。なんて噂も耳にする。
一氏くんがホモだろうと、金色くんのコトが好きだろうが関係無いというか。
別段、恋愛なんて自由だろうし、良いのだけど。
あの二人は、一緒にお笑いをしていて。
そういうコトも含めて、ネタなのかと思っていたけれど。
普段の一氏くんの態度からして、金色くんとイチャイチャ? しようとして、あしらわれている。
そんな姿を目にしていると、噂もあながち間違いじゃないのかもしれない。
実際に確かめた訳では無いけれど、次第にそう思う様になって行った。
その理由として、例えば、何となく女子に対して冷たいとか。
興味が無い、その他の人間だからあのような態度を取るのかもしれない。
そうであるならば、色々と辻褄が合う。
けれど、バレンタインにチョコをいくつ貰えるか。
友人らと気にしていたりと、そこは別問題なんだな、とか。普通の男子なんだなー、と思った。
そしてある時、どういう訳だか一氏くんと二人きりになるという状況になった。
若干、びくびくしながら過ごしていたが。間近で見る一氏くんは、意外とカッコ良く。
内心で呟いたつもりだったが、声に出ていたらしく。
物凄い勢いで、一氏くんが私の方を振り返った。
ぐわっと効果音が付きそうな感じで、睨まれた。
そう見えるだけで、本人はそんなつもり無いのかもしれないが。
兎も角、大きな声で、アホなコト言うなとかなんとか捲し立てられた。
その勢いに圧倒され、思わずもう二度と言わないからゴメンとか慌てて謝罪した。
別に悪いコトを言ったつもりは無いと思いつつ、やっぱり恐い人なのかなと思っていると。
そこまで言ってない、とか。思うのは人それぞれとか。ぼそぼそと小声で、続けられた。
詳しいコトは、よく聞きとれなかったけれど。
聞き返したら、また何事か言われるのは目に見えていたし。
悪いと思いつつも、曖昧な返事を返しながら、ちらりと一氏くんの方に目を向けると。
相変わらず無表情だったが。目元辺りが、うっすらと赤くなっていた。
それを目にした瞬間、全ての謎が解けた様な気がした。
近寄るなオーラを出してる訳でも、無愛想で冷たい訳でもない。
モノマネ王子は、思いの外、純情。
尚且つ、ツンデレ。
これ以降、180度、一氏くんに対する見方が変わった。
鋭い目付きも、今では微笑ましく思える。
まあ、本人にとっては不本意だろうから、絶対に口にしない様、細心の注意を払っている。







『第一印象』(金色編)



金色くんの第一印象は、何て言うか色々と衝撃的だった。
まあ、坊主で眼鏡。
それくらいなら、普通。とまではいかないかもしれないが、許容範囲内だと思う。
でも喋りだすと、おねえ言葉であるとか。
え、もしかしてオカマなのッ?! と戦慄いた。
尚且つ、IQ200もある天才であるだとか。
何、そのギャップ?! もう何処に驚いて良いのか解らない。ツッコミ所が多すぎる。
そういう時は、もう全部に驚いておけってコトだと思うが。
それにしたって濃い、さすが四天宝寺というコトなのだろうか?
いや、さすがにそれは、意味不明もいい所だろう。
とりあえず、話しを戻すとして。
言葉遣いもそうだが、動きもこう、何かくねくね? してる所があって。
一氏くんとコンビを組んで、お笑いを披露していたりする訳だが。
行き過ぎた愛? ホモコンビ、なんて言われたりしてるのも事実だけども。
全部含めて、ネタなんだろうと思っている訳だったが。
あの一氏くんの態度からするに、事実の様にも思える。
とは言え、お笑い以外の金色くんの一氏くんに対する態度は、冷たいと言うのか。あしらわれてる感じがして。
どうにも判断し難い。というか、金色くん的には相方でしかないのか。
そうなると、哀しい一方通行なんだな…。なんて一氏くんが、ちょっと不憫にも思えてしまう。
まあ、余計なお世話だろうし。私なんかに、そんなコト言われたくないだろうから、口にはしないけれど。
金色くん曰く、可愛い子が好みらしいのだが。
見ている限り、男子も女子も可愛い子は好きなようだ。
こうなると、可愛いの基準とか、守備範囲が広すぎてお手上げだ。
そんな、内面が全く見えない金色くんな訳だが。
意外と男らしい一面も、あったりする。
重い荷物を運んでいたら、バッと奪う様にして持ってくれたり。
男子に泣かされた、女子が居た時なんか。
「男が女を泣かすなんて、最低じゃゴルァーッ!!!」
なんて怒っていた。
こうした金色くんの姿を見ていて、私は重要なコトに気付かされた。
男であるとか、女であるとか。ましてや、オカマだろうとも。
そんなコトは大したコトじゃない、些細なちっぽけなコトだ。
一番大事なのは、こころ。心意気だ。
自分に正直に在るとか、相手を思い遣れるコトだったり。
そういうコトなのではないか。
広い心を持って、もっと地球規模で物事を考えるコトこそ大事である。
そんなコトを、教えられた気がする。
そう思えば何だか、金色くんに後光が見えるし、聖母の様にも見えてくる。
人として大変素晴らしく、一番大切なモノが何かを知っていて、さり気ない態度で指針となっている。
私は金色くんのコトを、今ではとても尊敬している。