晩生(おくて)な彼
7+15+19



「あれ、三村。元気ないみたいだけど、どうしたんだ?」
「…七原。はぁー…、俺は正直、お前が羨ましい。」
「は? なんだよ、藪から棒に??」
「はあー…。」
「何々だよ、ほらッ。俺に出来るコトなら力になるって!」
「……実はな…。」
「うん。」
「その、好きな…相手が出来て。」
「ふうーん、誰?」
「……………国信。」
「ああ、慶時かー…って、慶時?!」
「ばッ、お前、声がでかい!」
「あ、ゴメン。つい…。」
「…。」
「そっかー、慶時かー。うん、でも慶時、ホントにイイヤツだもんな。
 俺も大好きだし、三村が惚れるのも解る気がする。」
「…え?」
「あ、いや。恋愛の好きとかじゃないから、そんな目向けるなよッ!」
「……本当だろうな?」
「本当にホントだってッ!!! 信じろってのッ!!!」
「…解った。」
「よし、じゃあ俺協力するから!」
「え…?」
「だってさ俺、本ッ当ーッに慶時のコト大好きで。
言うなればお母さんみたいな感じがしててさ。」
「へ、へえー…。」
「そんな慶時を、何処の誰とも解らない相手に取られたくないし。
 その点、三村ならよく知ってるし、任せても良いかなー。なんて。」
「…そ、れは、どうも、ありがとう…?」
「ってコトで、じゃーんッ!」
「…携帯なんか出して、何する気だよ?」
「ん? 否、メールで慶時に教えてやろうと思って。」
「はあッ!? な、オマエ、ちょっと何考えてんだよッ!!」
「大丈夫だって、三村の名前出さないからー。
 『お前のコトが好きだって言うサードマンがいる』って送るだけだから。」
「ば、バカ野郎ッ! もろバレじゃねえかッ!!
七原オマエ、ホントそんなの送るの止めろ!!!」
「いいじゃんか、っちょっと離せよ!」
「ダメだ、送ンな!! つーか消せ!!!」
「あ! あーあ…。
何すんだよもう、三村が邪魔するから中途半端なメール送っちゃったじゃんかー。」
「つーかマジで、余計なコトすんなっての…。」





***





「あ、秋也。俺、先に帰るけど、…そう言えば。」
「何??」
「さっきのメール何? 『お前のコトが好きだ』って。」
「「…え?」」
「吃驚したし、返信に困ったよ。じゃあ先に帰るね。三村も、また明日ね。」
「え、あ、ああ…。気をつけて帰れよ…?」
「…。」
「…。」
「…あー…っと、その…。」
「七原、オマエなあ…!」
「いや、ホント、ごめんって…。」
「どうしてくれんだよッ!!」
「いや、どうって、別に慶時だって、何も誤解とかしてないって。」
「…オマエに言った俺がバカだった…。」
「いやいやいや、ほら元気出せって! また次の機会があるって!!」
「はあー…。」