夏の思い出
三村篇



そうだなぁ…。
小学校の5・6年の頃に、俺と郁美と豊の三人で、お化け屋敷に行ったコトがあるんだけどな。
コレが結構リアルで、よく出来てたんだけどさ。
郁美と豊の二人は、スッゲー怖がってさ。悲鳴上げて、走って逃げるくらいで。
それで、郁美が躓いた時に、タイミングが良いんだか悪いんだか。
正面から出てきた、お化けに扮した奴のさぁ…。
人間、転びそうになると、咄嗟に手が前に出るだろ?
だから、丁度前にきたそいつの服を掴んだらしくてな。
そのまま、衣裳が盛大に破れてさ…。
豊も豊でさ、どういう転び方したのか派手に転んだみたいで、セットの一部を壊すしさ。
店の人に、スゲー謝った覚えがあるんだよな…。
それ以来、お化け屋敷の類には、一切行かなくなったな。





夏の思い出
国信篇



うーん…、特にコレと言ったモノは無いんだけどさ。
そうだなぁ、でも鮮明に覚えてるのは。
小学校の3・4年の頃だったと思うんだけど。
工作の宿題が出てさ。
秋也が、物凄く一生懸命に作っててね。
今、思い返せば、凄い物ってわけでもなかったんだけど。
当時の俺達の年齢からしたら、結構な大作だったんだよね。
でもね、やっと完成したそれを、夏休み最終日の夕方に、秋也が誤って壊してさ。
凄いショックで呆然としてたんだけど、いつまでもそうしてるわけにもいかないし。
泣きながら、必死に直してね…。勿論、俺も手伝ったんだけど。
その時の、秋也の顔が今でも忘れられない出来事なんだよね…。
まあ、それでも救いなのはさ。
秋也の作った物が、クラスで金賞を貰えたコトだね。
終わり良ければ全て良し、ってやつなのかな。